訪日外国人にも人気だというJR品川駅の「アトレ品川」にある「BLUE BOTTLE COFFEE」。スーツ姿の日本人が黙々と行進する“社畜観察カフェ”というわけだが、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが次にブレイクしそうな○○観察カフェを、霞が関と渋谷で発見した――。
通勤ラッシュの品川駅
写真=iStock.com/rweisswald
※写真はイメージです

東京・JR品川駅内「社畜観察カフェ」に行ってみた

先日「社畜観察カフェ」と呼ばれる東京・JR品川駅内のあるお店が話題になりました。港南口と高輪口を結ぶ長い通路「レインボーロード」を見下ろす位置にある「BLUE BOTTLE COFFEE」(「アトレ品川」3F)。ここから、同ロードを通る、数多のビジネスパーソンをコーヒーすすりながら見下ろしゆっくり流れる時間を満喫し、優越感に浸るというのが「社畜観察カフェ」の由来だそうです。インバウンド客には「日本のサラリーマン群像」をウオッチできるスポットとして知られているそうです。

1日約70万人が乗降すると言われる品川駅。スーツ姿の人が黙々と行進する姿は圧巻で、スマホで撮影する人も少なくなかったようです。観察される側からクレームがあったのでしょうか、「BLUE BOTTLE COFFEE」には「NO PHOTOGRAPHY」と、スマホカメラで通行人の写真撮影は禁止との英字表記もあるそうです。

通行量が多い退社時刻くらいにこちらのカフェに行ってみました。

まず、コンコースを通って目についたのは「BLUE BOTTLE COFFEE」の窓際の席にずらりと並んでいる人々の顔。首が横に並んで浮き上がっているようで、観察しながらも、逆に注目を集めているような……。無表情だと感じ悪いと反感買いそうなので、微笑んで見下ろしたほうが良いかもしれません。

カフェに入ると、カップルや一人客、外国人など18人くらいが「社畜観察」席に並んでいました。窓の外には興味を示さず,文庫本を読む女性、ビジネスパーソンを見下ろしながら優雅にチョコを食べる外国人、無言のまま人波を見下ろすカップルなど、思い思いの時を過ごしています。

一方、駅に向かうスーツの人々の規律正しく安定感ある足取りを見ると、品川で働く人は社畜というより、エリートに近い印象です。「社畜観察」と称する人は、上から見下ろすという位置関係で、少しでも優位に立っている疑似マウント感を得たいのかもしれません。

他に、優越感の錯覚を得られる「○○観察カフェ」がないか、探してみました。